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■ 国際3D協会ルミエール・ジャパン・アワード2013(2013年11月30日)■
先週11月20日に秋葉原のUDXシアターで2013年度のルミエール・ジャパン・アワードが発表された。
審査員のほとんどが「日本では3Dはオワコン」を自覚しながらの今年ではあるが、オワコンだからこそ逆に「本当に3Dが好きな人、世界のレベルに近づけたい人」が残り「一攫千金を狙った3D教不信心者が居なくなった現状」は、 昔からの3Dファンやマニアには喜ばしいことではある。とはいえ、やはり3Dコンテンツや3D機器の開発に大資本を投入できる環境が崩壊してしまった状況は寂しいのだが、 発表会当日の会場の雰囲気は結構『こんな今だからこそ俺たちが日本の3Dを牽引していく』といった熱い空気があったし、『キャプテンハーロック』は興行成績的に苦境の中でのグランプリ受賞で監督が感極まって涙声になっていたりで、 下世話な居酒屋的3Dマニアな私などはそのマジな映画祭的雰囲気に戸惑ってしまったくらいであった。
アンチ3Dな日本では、ハーロックでの「本来は視差の無い無限遠で広大な宇宙空間をどうやって立体化して見せるか」の技術やアイデアのそれなりの水準の高さについても全く評価されていないが、 私的には「わ、広いし深いな」と感心したし、これから12月に公開されるハリウッド大作『ゼロ・グラビティー』と見比べたい気持ちになったが、残念ながらハーロックは既に地方の映画館、 それも数館でしか上映していないし、3D版のブルレイが発売されるかどうかも分からない現状が悲しい。
さて、私が当3Dエロスで2006年頃から書いてきているように、世界でのCGや3D技術の急速な進化に追いつけない日本の映像界は、 このままでは5年か10年に1本あるか無いかの原作とシナリオの質が極めて良い作品か、宮崎アニメに代表される2Dセル画チックなものをさらに日本的に進化させたものしか生き残れないと今も思っている。 高畑監督の「かぐや姫」のような手間のかかる水彩画チックなアニメが高く評価されるのは良い、が、それは現在と将来の世界の映像界ではあくまでもニッチなニッチなものでしかないように思う。
わざわざ映画館に脚を運ばずにも40インチか50インチのテレビで見れば充分なものって、「映画」を前提に創る側からすればやはり淋しいことのように思えてしまうが、どうなんだろうか?
ルミエール(兄弟)は、スクリーンに投影する「映画」を発明し、1895年の頃から3Dによる「リアルなのに非日常的な夢の映像空間」を目指していたことから国際3D協会はその賞にルミエールの名前を冠しているわけだが、 そんな革新性を失った(あるいは最初から持っていない)日本の映像界の将来は厳しいのではないかと思ってしまう。
唯一の救いは、ここ数年のハリウッド大作のスタッフロールに、人数は少ないながらもVFXや3D部門に日本人スタッフの名前が挙がってくることだが、 それとて人数を急激に増やしている中国人名のスタッフ数に比べると少なく心配になってしまうし、彼らは日本の映像界を見限って今後もハリウッドに活躍の場を広げて、 日本にはもう帰ってこないんだろうなと思ってしまうとやはり悲しいし、音楽も映像もペラペラでもその時だけチャチャっと楽しめれば充分じゃん...的な今の日本の空気は私は好きではない。
■ 東京オリンピックが開催される2020年の映像技術はどうなっているか?(2013年9月8日)■
2020年の夏季オリンピック&パラリンピックが直前のマスコミ予想に反して大差で東京に決定した。ダダ漏れのフクイチをどうするかという解決しなければならない大きな課題は残っているが、 首相が世界に向けてお約束したのだから、今まで以上に海外の目に晒されることで「アンダー・コントロールド」を真実のものとするべく対策が改善されていくことを期待したい。
さて、映像の世界においては、2020年夏季オリンピックが東京に決まった直後から、7年後の映像・放送・インターネット技術の進化を見越した様々なアイデアがネット上に上がってきている。
ま、地上デジタル移行で巨額の設備更新を余儀なくされたばかりの放送業界においては、7年間の時間では4K2Kにすら対応は厳しいと思われるが、 地上デジタル放送の足枷を外せば(例えばインターネットなど)、可能性は大きく広がる。
ちなみに昨年のロンドン・オリンピックでは英国スカイ3DとBBCが全世界リアルタイム3D放送を配信した(先進国でリアルタイム3D放送が行なわれなかったのは日本だけだった)が、 映像処理技術の進化を考えれば、これからの7年間はフィリプス+ドルビー3D連合軍が既に実現している「メガネ不要で多人数で見られる大型裸眼3Dテレビ」にとっては十分すぎる普及期間であり、 現在の放送システムをほぼそのまま使用できるため、2020年の街頭テレビやスポーツバーのテレビは全て裸眼3Dテレビになっているかもしれない。 あるいは競技スタジアムの中で直接見ているような没入感重視派には「間近で360度自由視点」から競技を見られる映像システムが実用レベルで普及しだしているかもしれない。 『女子体操をリアルタイムに自由な視点、例えば下から見上げた床目線から見られる』ことを可能とするコンピュータの演算処理能力向上も7年間あれば可能だとツイッターに書いている人も居る。
そんなことを書くと、お堅い方々は『神聖なるオリンピックを汚す行為だ』と非難するだろうが、360度自由視点もエロい下からの床目線も、 その技術はやがて医学をはじめとする科学分野や教育の世界に波及して社会生活の飛躍的な改善・向上に繋がっていくきっかけになれば良いのである。
さて、2013年現在、既にCGならばMMDや3DVR・ARの技術で360度自由視点な下から目線も裸眼3Dで見られるシステムはあるし(東芝ダイナブックT852等)、 ヘッドマウントディスプレイなら非常に安価な費用(3万円〜5万円程度)で実現できているし、 さらに高精細3Dスキャナーやマルチ・カメラによる「実際の女性」の完全3Dスキャンによる360度自由視点映像も公開されている(「3D-Scan-Girl01」http://vimeo.com/71466225)や「IR Full-Body Scans in UDK, viewed in VR.」。 これは現在世界中の3Dマニアやゲームマニアに注目されている広視野角のヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift」向けに変換されたものであるが、 既にこのような「人体3Dスキャンデータ」にMMDのボーンを組み込んで、パフュームが公開しているようなダンス・モーションデータで躍らせることも可能となりつつある。 つまり、AKB48なりモモクロなりお気に入りのAV女優の人体3Dスキャンデータから再現したバーチャル3D人間を自由に動かして、自由な視点から(もちろん下からも)見ることが今現在もできるのである。
ちなみに左上の画像は、「Oculus Rift」でバーチャル・セックスをしている状況を第三者目線で再構築した(本人にはこんなように見えている的な)デモ映像「Oculus Rift TV SPOT」(http://vimeo.com/7402506)であるが、 これをバカらしいと思ってしまう頭の硬い人にはその可能性を広げることはできない。
ここ5年間ほどの映像技術の進化を考えると、2020年までの7年間で我々の想像を遥かに超えた領域までさらに進化してしまう可能性もあるわけで非常に楽しみではある。 が、残念なのは、2Dに偏った日本の「クール・ジャパン政策」の結果、既に欧米や中国の映像制作者の技術や表現力に遥かに遅れを取ってしまっている現状では、 ハードや新技術を活かしきれないのではないかと思えてしまう。
これからの7年間で、ハードも、それを活かす映像クリエーターも日本で育って欲しいと願っている。
■ 高画質な裸眼3Dテレビ時代がもたらすもの(2013年5月12日)■
4月の情報になるが、当コラムでお伝えしている「裸眼3Dテレビを中心とする新しい3D技術とフォーマット」の具体化に向けて、オランダのフィリプス、アメリカのドルビー、 そしてアバターのジェームズ・キャメロン監督が正式にタッグを組み、「ドルビー3Dフォーマット」の売り込みに向けて本格的な活動を始めた。
その中核技術を開発したのは、既報のとおり、フィリップスからスピンオフした若き4人の技術者が創設した「ディメンコ社」である。
ドルビー3D方式に限らず、裸眼3Dが普及すれば、人類の生活は大きく変わる可能性がある。なぜなら、日本での多くのアンチ3D派の人々が思う以上に、映像の本来のあるべき姿は3Dなのである。 現在の2D映像は、パース情報が欠落しているという点で不完全であるし、それは産業でも教育でもエンタメでも社会生活でも、本来映像から視聴者が得られる情報を大きく減少させてしまっているのである。
ま、生まれたときから「映像とは2Dなもの」が当たり前として育ってきた人々にはなかなか実感できないことではあるが、3D視を続けてきた人々にはパースの無い映像はリアリティーが欠如した、 まさに絵に描いた餅なのである。それは単に立体感だけではなく、物体の質感や空気感の再現性にまで及ぶ。
もちろん私は2Dも嫌いではないし、2Dならではの表現や意義も重要だと思っている。しかしそれは、将来は「アートの世界」での存在意義に変わっていくと思う。墨絵や浮世絵や抽象絵画が、 作者が表現したい対象とそれへの思い入れを見る側に強く伝えるためにデフォルメと簡素化、あるいは逆に実態以上に精緻にディテールを作ることによる「創作」であるようにである。
私の好きな植物図鑑の絵なども、非常に精緻に描かれているようで実際にはデフォルメと簡略化が行われている。パース情報の無い2D写真ではゴチャゴチャになってしまって、 本来伝えるべきその植物の特徴が伝わらないためであり、描いた人の「意思」が入ったものであるから、優れた植物図は単なる学術資料としてだけでなく美術的価値もあるのである。
対して3Dは、基本的に見たまま、あるがままの空間を再現する。もちろん映画などのエンタメではCG技術、あるいは背景ボカシなどの2Dの手法も使った創作であるが、スポーツ、音楽、 日常生活などの3D映像は、その瞬間瞬間のあるがままの空間の再現である。それは単にパースを加えた情報量の多さというだけではなく、2Dでは伝えきれない「何か」を伝えることができる。 その「何か」を上手く表現できないが、簡単に言ってしまえば「より高いレベルのリアリティー」である。おそらく360度回り込んでも立体に見えるホログラフが当たり前の時代になれば、その感覚はさらに強くなると思う。
江戸末期から明治初期に撮られた数々の3D写真を見ていると、それが百数十年前に撮られたものであるにも関らず、その時代の空間に引き込まれるような、あるいは過去の時空が現在の時空に繋がったような、 そこに写っている人々の息遣いや体温が伝わってくるような感じが私にはするのである。まさに時空を飛び越えてリアリティーを感じることができるのである。 もちろんそれは全ての人が感じ取れるものではないし、逆に2D写真からでも直感的にそれを感じ取れる人もいるだろうがその才能を持った人々は極一部に過ぎないだろう。
重要なことは、そんな一部の人たちだけでなく、多くの人々が3Dに慣れることで2Dよりも格段に高いレベルのリアリティーを感じ共有できるようになることで、 戦争やテロや犯罪や事故で人が殺され地震や津波や原発が爆発しても2DのテレビやYouTubeや紙媒体では全てが他人事のように思えてしまうフィルターのような2Dの壁を破って現実の姿に向き合い、 相互理解や現状認識や知識が高まると私は思っている。ただし、現実にはそこに無い空間や人やモノと現実との区別が付かなくなる危険性もあるから、教育の場での3Dの見方や啓蒙が必要であり、 今後その重要性が高まると私は思う。
■ ゲーマーに話題の「Oculus RIFT」の発想力が日本には必要(2013年5月12日)■
パナソニックとシャープのテレビ部門の大失敗から、日本のメジャーメーカー各社では『3Dは無かったことに』的な雰囲気が強く、今や3Dは禁句にもなっている模様であるが、海外、 特に1980年代からPCゲームを3Dで楽しむユーザーとそのためのマーケットが成立しているアメリカでは、若い開発者たちがフレッシュな発想で3Dに参入し、良い方向に向かっている。
ちなみに日本では公開されていない映画作品にも3Dは定着し、その3D品質も加速度的に良くなってきている。
そんな中で昨年プロトタイプが発表され、日本でも今月から入手が可能となったゲーマー向けのヘッドマウント・ディスプレイ(HMD)『Oculus RIFT』が凄いらしい。
3D対応のHMDと言えば、本コラムで既報のとおり、日本でもソニーのHMDが話題となり、3D製品としては珍しくある程度の台数を売り上げて現在のHMZ-T2に繋がっているし、 それをカスタマイズして医療分野に導入しているケースもあるが、その前身とも言うべき1996年に発売された『グラストロン』時代から、専用液晶(HMZ-T1/T2は有機EL)を使った高画質志向のものであるが、 3D視に重要な「視野角」を広くするのは難しい課題として残っているし、ゲームやバーチャルリアリティーに必須のヘッドトラッキング(頭の動きに応じて視野が変化する)機能も無い。 他のメーカーの一部のプロトタイプやビジネスショー向けの特殊なものでは、人間の頭全体を覆うような大きさ(昔の美容院のパーマをかける機械のような)で広い視野を確保するタイプも存在するが、 家庭での使用を考えたものではない。また、ゲームでの使用を想定した小型のものではヘッドトラッキング機能内蔵のものも多いが、良くない画質と狭い視野角の割には結構なお値段になってしまっている。
そんなHMD分野に、「非常に安くて高画質になったタブレット用のモニターを使えば広い視野を確保したHMDを安く完成できるのではないか」という発想の元に生み出されたのが『Oculus RIFT』である。 タブレットやスマートフォンを3Dの表示モニターに使う発想自体はタブレットやスマートフォン発売直後から世界中の3Dマニアの間ではあったし、実際に製品化された「アイフォン用3Dビューアー」もいくつかある。 『Oculus RIFT』はそんなタブレット用の3Dビューアーを直接顔に付けられるようにしたものと言ってよいくらいに割り切ったものであるが、眼球の数センチ前のモニター面をハッキリ見せるためと、 広い視野角を確保するために計算上歪ませて画像処理された映像を正しく見せるための光学系がよく考えられている。もちろん、ゲームに必須のヘッドトラッキング機能も最初から装備している。
そして特筆すべきは、タブレット用の大きなモニターを最大に活かした「対角110度、左右90度」という広大な視野角である。ソニーHMZ-T2は左右45度であるから実にその2倍。 体感上はもっと広く感じるらしい。そしてそれが、ゲームやアプリなどの開発者向けキットとは言え「37,800円」という低価格で入手できるのである。 製品版発売の予定価格も5万円台と安価に設定されているが、このまま円安が続くともう少し高くなってしまうかもしれないし、現在のアメリカでの高い人気から製品版の製造台数が当初の予想よりも多くなれば 逆に安価になるかもしれない。
これに小型で安価なステレオカメラがオプション設定され、グローブ型の入力デバイスなりジェスチャーコントロールで動かせる「仮想の手」のアプリが進化すれば、非常に没入感の強い ARを活かしたバーチャル・リアリティーの世界を楽しめるようになるだろう。既にアプリ開発者の何名かは、この「Oculus RIFT」で見る仮想現実の世界の中の3DCGで描かれた初音ミクなどを下から覗きながら そのスカートを仮想の手でめくることも可能としているのだから...仮想立体空間の中でリアルなCG女性のおぱーいを仮想の手で触って感じさせたり、おぱんちゅを脱がせることが出来るようになるのも時間の問題であろう。 あるいは世界中に増殖しつつある腐女子たちが仮想の美青年や美少年たちを操作してカラマセたりして遊ぶゲームや、肉食系女子たちが立体映像のお好みのペニスを仮想の手や口で手シゴキしたりフェラしたりして、 いかに早く何本も大量に精子を射精させるかを競う対戦型オンラインゲームが登場するかもしれない。 コンテンツにおけるクールジャパンとはテレビ向けのアニメよりも実際には世界最高水準のAVやHENTAIコミックやアニメなどの方が幅広い年齢層で認知度は高いし、 それに触発されて学術や教育や医療や産業分野に応用する人が出てくれば良いのである。最初から頭の硬い人たちに任せていたら進歩と普及は望めないと思う。
■ 『ジュラシック・パーク3D』急速かつ高度に進化し続ける2D3D変換技術(2013年4月17日)■
アメリカでは通常の映画館での3D上映の他に4月5日から1週間の期間限定でIMAXシアターの大画面でも上映された『ジュラシック・パーク3D』を実際に観た3D仲間たちの評判が非常に良い。
マイケル・クライトン原作+スピルバーグ監督制作で大ヒットした『ジュラシック・パーク』オリジナル版が公開されたのは20年も昔の1993年のこと。 当時最高の画質と最高のVFX技術による特殊効果を使っているものの、あくまでも2D作品であり、ヒッチコック監督が今から60年前の1953年に3Dで制作し翌1954年公開された『ダイヤルMを廻せ』とはわけが違う。 今回の『ジュラシック・パーク3D』は『タイタニック3D』や『トップガン3D』と同じく2D3D変換されたものである。
さて2D3D変換と言えば、公開前に大きく期待されていたジョージ・ルーカスの『スターウォーズ』シリーズの変換第1作の仕上がりが酷すぎて大コケし、 2D3D変換に対する大きな失望感を植え付けてしまったことは記憶に新しい。
さらには『ピラニア3D』シリーズやいくつかのアクション映画も酷すぎる2D3D変換版が続いたため、 私自身も『昔のあの作品を現在の3Dテレビでリアルな3Dで観られたらいいのにな〜』という夢を捨てかけていた。 が、非常に丁寧な変換が行われている『タイタニック3D』や、オリジナルの画質自体が良くないため変換後の3D画質も決して良くはないが空中戦シーンが非常に臨場感があった『トップガン3D』を観て、 2D3D変換作品も忘れずにチェックしようと思っていたところに『ジュラシック・パーク3D』の登場である。
来週4月23日から発売されるブルレイ版を先行視聴させてもらったが、その3Dとしての仕上がりの良さに感激すると共に、今後の2D3D変換の可能性について改めて大きな期待を持った。
何が凄いかと言うと「下手な2眼ステレオカメラで撮影された3D映画よりもよっぽどまともに3Dに見える」こと。横に移動する被写体をカメラがパンして追うようなシーンでも破綻しないし、 この手のパニック映画には必須の飛び出し感も十分計算されて飛び出してくるし、人物のアップでは鼻はちゃんと高いし量感もあり、全編を通じてコンバージェンスポイントやパース感が乱れておらず、 映画の内容自体に引き込まれて一気に見ることができた。
さて、現在の3D映画制作では、最初から2D3D変換を前提としたものと、レンズ口径が大きい業務用シネカメラを2台使ったもの、その両方を組み合わせたものがあるが、 2台の業務用カメラを単純に横に並べたステレオカメラシステムではステレオベース(2台のカメラの各センサーの中心位置の間隔)が広すぎるため、 役者の上半身や顔のアップシーンなどは少し離れたカメラ位置からズームで寄り背景をぼかすか、あるいは、 45度傾けたハーフミラー越しに2台のカメラを90度の位置で組み合わせたステレオリグで視差を狭くして撮影することになるが、ズームで寄った場合はどうしてもパースが圧縮されて人物の量感が弱くなり、 ペッタンコなものになってしまうことが多い(その典型的な悪い例は日本の『貞子3D』など)。 また、ハーフミラーによる撮影では、ミラーを透過した側のカメラと反射した側のカメラでは明るさだけでなくセンサーに届く光の波長や性質が異なってしまうため、 特に1本1本の髪の毛や頬の微妙な曲面に反射した光や背景の中の反射光などが左右違ってしまうことから違和感のある3Dになってしまっているものが多い(編集段階でかなり補正されていても完全には補正しきれない)。 それに比べて今回の『ジュラシック・パーク3D』は、元々1枚の絵しかないので左右の色や反射光が違うことも無いし、寄りも引きも計算ずくでパースを設計し変換が行われている。 それも『タイタニック3D』以降のノウハウの蓄積を生かしたより高度な変換が行われていると思う。
もちろん、映画冒頭の「薄暗い中で木々の多くの葉がザワザワと蠢く」シーンといったような遠近の定位が決めにくく2D3D変換が不得意とする部分や、 背景にライトなどの光源がある逆光シーンなどは無理さが見られるが、少なくとも『ジュラシック・パーク3D』の2D3D変換は鑑賞に堪えるという以上の十分な3D画質であり、 さらに今後の2D3D変換技術の進化の可能性を見せてくれたものだと思う。
なお、『ホビット』などに登場するCGで描かれたキャラクターとは違い、20年前の『ジュラシック・パーク』の恐竜たちは、 遠景のブラキオサウルス、草原を高速で走り抜けるガリミムスの大群などを除き、人とカラむトリケラトプスやラプターやTレックスなどの恐竜は等身大のアニマトロニクス(人が中に入り直接あるいは遠隔操作で機械的に動かす精巧なレプリカ)で作られているので、 量感や質感といった存在感は現在のCGによるものよりもかなり強いことも『ジュラシック・パーク3D』の変換後の完成度が高くなった要因のひとつだと思う。
さて、何でもかんでも過去のヒット作を2D3D変換すればよいというものではない。と言うよりも、わざわざ3Dにする必要なんて全く無い、2Dのままの方が良い作品の方が圧倒的に多いと思うし、 内容的には3D化されたら良いのにと思えても、オリジナル2Dの画質自体が悪いものや3Dを想定していないもの、フレーミングやカメラ・ワークが悪いものは3D化に向かないと思う。
20年前はそんなに感じなかったが、スピルバーグとそのカメラ・クルーの映像空間の捕らえ方やフレーミングって凄く上手だったんだということを今回の『ジュラシック・パーク3D』を観て強く思った。 逆に言えば、2D3D変換によって、監督やカメラ・クルーの真の力量が顕わになってくるように思えたし、その点から、『スター・ウォーズ3D』で大コケしたルーカスは、 2D3D変換以前の2D自体のカメラ・ワークがたいしたものでなかったように思えた。
おそらく今後5年でさらに2D3D変換技術は高度に進化し、変換に要するコストと時間は半分以下になっていくと思われ、3Dコンテンツの質・量共に急速に高まると思われる。そして3Dコンテンツの質・量がマーケット的に力を持った時、 アップルが重い腰を上げて3Dに参入し、名実共にようやく3D普及期に時代が変わることが期待される。
【補足情報】2013.04.18
ちなみにこの『ジュラシック・パーク3D』の2D3D変換を担当したのは『タイタニック3D』同様に『StereoD』社である。 3D映画として大きな興行成績を上げている代表的な作品のほとんどに関わっている同社は創立からわずか数年で2D3D変換技術のリーディング・カンパニーとなったが、 知る人ぞ知る日本の3Dコンソーシアムの事務局長を務めていた泉邦昭氏(弁理士)が「アバター」で悪役を演じた俳優のジョバンニ・リビシとロスに共同設立した会社であり、 現在泉氏は同社のCTO(Chief Technology Officer)であり、また、3Dコンソーシアムの副議長でもある。 事務局長時代の泉氏はプロ・アマチュアを問わず、一流企業の著名な研究者も若い学生も問わず、本当に3Dを愛している者たちと気さくに語り合っていたのが印象的。 ちなみに当サイトが開設間もなく日本人にはほとんど知られていない頃、某イベントで3D映像のデモを見るための行列で偶然彼と一緒に並んだ時に、彼から「3Dエロスの方ですよね」と声を掛けられ名刺交換をしたことが懐かしい。 ハリウッド映画業界はもとより、世界各国の企業や大学や研究機関のレポートも3Dエロスのようなアダルト3Dサイトに関しても分け隔てなく情報収集の対象として、より良い3Dとその普及への可能性を探っていたわけである。 正直あの時はまだ、ここまで2D3D変換がリアルなものに進化するとは私は思っていなかった。今となっては嬉しい誤算である。
■ 2D/3Dフルハイビジョン互換テレビ放送規格をめぐるドルビー・フィリプス連合vs韓国vsNHK(2013年3月1日)■
NHK自体は積極的に宣伝していないが、現行のデジタル・ハイビジョン放送の枠内で2D/3Dフルハイビジョン互換放送を実現する「アドバンスド・ステレオ・3D(Advanced Stereo 3D)」 方式案を公開している。それをNHK以外のメディアが色々な解釈で報道している。
2012年は、日本で3Dが定着しない原因のひとつにNHKがスーパーハイビジョンや遠い将来に実現を目論む独自のインテグラル3D方式への偏重からか現行放送枠内での3D放送に積極的でなく、 そのようなNHKの姿勢が他の民放に与える影響が異常に強い日本では、本来3D普及を進めるための最重要コンテンツである3Dテレビ番組が一向に増えないどころか、 民放では撤退する方向に動いている。
もちろんその根底には、非常に多くの国民が熱狂して毎回のゲームをテレビ観戦する欧米のような「放送にとってのドル箱キラーコンテンツである国民的スポーツ」が今の日本には無く (昭和30〜40年台には大相撲とプロレスと野球の3大国民的スポーツの時代があったが)、常時安定した高視聴率を稼げるジャンルが無いという放送事業の根幹の問題も大きい。
しかし世界を見れば、来るべき「裸眼3Dテレビ時代」に向けて、ドルビー&フィリプス連合軍や韓国がデファクトスタンダードの座をめぐって戦いを繰り広げている。
さて、ここで今一度ハイビジョン3Dテレビ放送の歴史を振り返ってみよう。このコラムを過去からお読みの方や実際に過去の3Dフェア、3Dエキスポ、3D&バーチャルリアリティー展、 フラットパネル・ディスプレイ展、CEATEC JAPAN等に足を運んで様々な3D方式やシステムと画質の進化をご覧になってきた方々はご存知のとおり、 2007年に世界で始めてきちんとした番組としてハイビジョン3D放送を始めたのは日本のBS11であり、それに合わせて発売された、ビッグカメラなどが出資してヒュンダイのハイビジョン液晶テレビに 新潟の有沢製作所製3D偏光フィルターを貼り円偏光メガネで観る方式の3Dテレビが、量産型の民生用デジタルハイビジョン3Dテレビとしては最初のものである。
BS11は3D向きの紀行番組や科学番組に加えて当時はまだほとんど無名だったAKB48を起用した番組や女子プロレス番組などを放送していた。もちろんその画質は現在の3D放送と同じ ハーフ・サイドバイサイドであり(この段階でフルハイビジョンの1/2画質)、さらに偏光方式のため縦方向が1/2になり、全体としてはフルハイビジョンの1/4の画質であったが、 放送の歴史の上では革命であった。
そして3年後の2010年に、プラズマの生き残りを掛けた大人の事情からパナソニックがフィールドシーケンシャル+フレームパッキング+液晶シャッターによるアクティブメガネ方式の3Dテレビを発表し、 各社がそれに追従して3Dテレビを発売し、BSやCSで3D番組も始まり、過去を勉強しないマスコミは『3D元年』と煽った。 その前年のアバターの世界的大ヒットによる相乗効果もあり、韓国の家電2強やアメリカ・ブランドのメーカーも3Dテレビを発売したが、ハーフ・サイドバイサイドやトップ・アンド・ボトムも フィールドシーケンシャルやフレームパッキングもアクティブメガネや偏光メガネも技術的には20世紀の誰にでも製造可能なものであり、後は価格競争だけが残ったその結果が今日の状況である。
しかもそれは2Dテレビとの互換性は無く、3Dテレビを持っている人々しか3Dで観ることはできず、それもアクティブ・メガネで見ても解像度は1/2であり、発売当時の価格はべらぼうに高く、 国民のほとんどを占める2Dテレビ環境では縦長の左右2画面が表示されるだけのもので、画質や互換性に厳しい日本のマーケットに受け入れられるものではなかった。
本来日本は、BS11による3年間という十分な時間の3D放送実績というアドバンテージ(現行方式のダメな部分や改善すべき点が見えたということ)を活かして、 放送局とテレビ・メーカーが一丸となって2010年の3Dテレビ発売までに2D/3D互換かつ真のフルハイビジョンで3D放送を行える環境を整えて世界をリードすべきだったと言える。
そのような日本の状況を横目に、テレビ・メーカーとして世界制覇を果たしつつあったサムスンとLGを要する韓国は、2010年の3Dテレビ発売とほぼ同時に、 2D/3D互換な次世代3Dテレビと放送システムの実験をソウル市内で開始しノウハウを積んでおり、また、 特許やシステムで儲けるオランダのフィリプスやドルビーも過去のWowTVやシアター3D失敗の経験を活かして次世代3Dテレビと放送システムの開発を進めてきたわけである。
NHKが公開した「アドバンスド・ステレオ3D」方式の研究開始は2012年1月からであり、その時点で既に2年間のソウル市でのテスト放送実績のある上記の韓国方式とほぼ同じものであるが (つまりは先を行く韓国方式をNHKがパクったと言える)、 韓国政府は韓国方式を国際規格として普及・定着させるべく国策として強力にバックアップしており、日本の劣勢は明らかである。
片やドルビー&フィリプス連合軍は、単に2D/3D互換をアピールするのではなく、大型の裸眼3Dテレビから小型の裸眼3Dタブレットや裸眼3Dスマホまでのサイズで「裸眼3D」を見せるという直感的で刺激的なデモンストレーションを行うことで規格の先進性をアピールし、 ドルビーが強力なコネクションを持つハリウッドを味方に付けて一気に攻勢を強めている。
早ければ今年の年末までに2D/3D互換の裸眼フルハイビジョン(もしくは4K2K)3Dテレビが登場し、欧米のテレビ局が全ての番組を基本的に3Dで制作するようになり (既に欧米では3Dのノウハウ蓄積と業務用機器の開発・導入が進み3D番組制作に要するコストは劇的に安くなり撮影・編集時間も2D番組の2割り増し程度にまで短縮されている)、 さらに韓国製品に加えて台湾・中国メーカーが韓国方式なりドルビー3D方式なりに対応した低価格な裸眼3Dテレビを市場に出せば、 5年を経ずにそれが「テレビと放送の世界標準」になるだろう。その時になってはもう日本が3D業界の一角を占めるポジションに立つことは残念ながら永久に無理になるかもしれない。
このようなフォーマット争いの状況は、当3Dエロスが2007年に将来の3Dフォーマット策定に関して予想したとおりの流れである(「鑑賞方法」のページの後段参照)。願わくば、当時の私の予想のように、 フォーマット確定後は日本のハイクォリティーな光学技術や放送機器技術を活かして、アマチュア用から業務用まで、再び世界を席巻できる優れた3Dカメラ、裸眼3Dモニターとテレビ、 編集ソフト、放送用機器などを開発して欲しいものである。
【補足1】 NHK自身が公開している「Advanced Stereo 3D」方式の概略説明資料が総務大臣指定・一般社団法人「電波産業会」のホームページにPDFで掲載されている。
【補足2】 当3Dエロス本家では2D/3D互換の有用性を広めるために既に2009年からデュアル・ストリームWMVによる2D/3D互換配信を行っています。 Stereoscopic PlayerやNDIVIA 3D VISION Video Playerでハイビジョン3Dで観られ、2D環境ではWindows Media Playerなどでそのままハイビジョン2Dで見られます。
■ ミニマム創内視鏡下手術に民生機ベースの3D・HMDが使われている(2013年2月16日)■
3D業界では大きな流れとしては「裸眼3Dの普及」に向かって現在いろいろと動いているようだが、そもそも「3Dって必要なの?」という一般ユーザー、特に、 アンチ3D派の多い日本では、まずは「3Dって楽しいよ、凄いよ、便利だと」という啓蒙をどのように行うかを、もう一度原点に還って考えなければならないように思う。
さて、現在、裸眼3Dがメインのドルビー3Dに関しては新しい情報もないし、その他の3Dデバイスも同様に大きな動きは無い。 強いて挙げれば、近年目覚しく微細かつ高画質になってきた「レンチキュラー・シート」でiPhoneやiPad MINI用の「貼ったまま普段使いも出来る綺麗な裸眼3Dレンチキュラー・シート」が各種登場してきたことと、 それを活かす3Dアプリが色々と登場しそうで、3Dは日本を除く海外ではまた1ステップ先に進む可能性がある。
ま、アップルが作れば何でもかなり売れる現在の日本の「ムードだけで動くマーケット」では、アップル自身が裸眼3Dモデルを出すのが3D普及には一番インパクトがあるとは思うが、 おそらくアップルとしては、メガネ式3Dが終わり、裸眼3DテレビやPC用裸眼3Dモニターがある程度普及し、何よりも、 それらの裸眼3Dデバイス向けの3Dコンテンツが現在の数百倍の規模で、プロ・アマチュアを問わず、制作されて広告媒体なり売れるコンテンツとしての環境が整うことが確実に見えてから参入するのではないだろうかと思う。
家電メーカーとは違い、それまでに他社が培って有用と認められた技術のいいとこ取りして、少品種でリスク少なくドカッと世界中で売るのがアップルのやり方だし、 アップル・ストアで薄利多売でコンテンツを売ることを前提としたら、現在の3Dコンテンツは質・量ともにまだまだ少ないと言えるだろう。
しかし3Dオワコンな日本でも、医学界で正常進化的に3Dが使われ始めていることを昨年7月にこのコラムで紹介したが、より実践的な活用をウリにしている事例が紹介されたので取り上げてみる。 それも高価なオーダーメイド製品ではなく(カメラ等は除く)、ソニーの民生用3D対応HMDにちょこっと手を加えて使っている東京医科歯科大学大学院の事例である。
最初に上の写真を見た時は「オペの最中に何で皆上を向いているんだ?」と思ったが、このシステムの概要を読むとなるほどと思った。つまり、民生機のソニー製HMDには無い傾きセンサーや 視線トラッキングが内蔵されていて、目線の移動や頭の角度で観られる映像が変わるというもの。手術している手元を見なくてもちゃんと手術している箇所が見えているわけです。
それも以下の図解のように、3Dで「拡大」「俯瞰」「全員視(オペしている医師や補助者全員で映像を共有)」「誘導視(エコーなどで見えない箇所の映像も見える)」 といった微細な手術に必要な映像情報をカバーしている。
詳しくは東京医科歯科大学大学院の上掲ホームページで確認していただきたい。
必要こそ発明の母と言われているように、実際に必要とする人々の意見や要望を聞き入れてこそデバイスは進化する。
そして私が今一番感じていることは、ひとつの具体例としてこのように医療分野では既に「より高度で安全で患者の負担が少ない手術」というニーズのために3Dが応用されるようになったのに、 なぜ日本では一般のエンターテイメント分野で3Dが活かされていないかという問題意識が日本のメーカーにはほとんど見られないことである。
もちろん欧米人と日本人を含む東洋人の間には「空間や物体」に対する視覚的な捕らえ方の違い、表現の違いが古来から存在すると言われてきたし、 欧米の「コミック」と日本の「漫画」を見比べればそのパースの扱いや物体の輪郭の扱いは大きく異なっていることが分かる。
しかし、日本が古代から中・近世まで絵画のお手本のメインストリームとしてきた中国は今や視聴者数の上では世界第一の3D普及国になっていることから、 東洋人である日本人には3Dは文化的にも馴染まないというのは偏見に過ぎないと私は思う。
確かに日本人には慣れ親しんだモノやシステムと異なるものに対する拒否反応や警戒心は欧米人や中国人に比べて強いかもしれない。 が、日本でのインターネットやスマホの普及速度を見れば「便利で楽しめる」ものであればかなり柔軟に取り入れ、さらに便利で楽しいものに進化させる能力が日本人にはあると思う (それが行き過ぎるとガラパゴス化の弊害も出てくるが)。
そこで日本での3D普及を進める上で重要になるのは、以前このコラムに書いたように、『技術者目線からの商品開発』ばかりでなく『クリエイター目線からの商品開発』だと思う。 ここで言うクリエイターとは従来の2D映像のクリエイターではなく、プロ・アマチュアを問わず十分な3D経験のあるクリエイターである。 なぜなら、ほとんどの3Dクリエイターは過去に既に2Dクリエイターとしての経験を踏んだ上で3Dに進んでいるからである。いきなり3Dから入った人はほとんど居ない。 そんな2D経験の上に現在3Dで作品を制作したり鑑賞者として楽しんでいる人々には、2Dの表現と3Dの表現の間の大小の違いも、3Dならではの表現と制限も、また、 今の3Dに何が足りないかを分かっているし、その足りない分を実現するためにはどのようなハードやソフトやサービスが必要かという問題点が見えている人が多い。 そんな彼らの意見や要望を、メーカーやコンテンツ・パブリッシャーはもっと積極的に活用すべきだと思うし、それなくして日本での3D普及はいつまでたってもあり得ないと思う。
しかし私はその反面、幻の3Dブームが消えて、「3Dで儲けてやろう」的な魑魅魍魎のような連中が居なくなったことで、再び日本には「本当に3Dが好きな人々」だけが残った現在は、 3Dマニアには良い環境かもしれないとも思っている。 願わくば、メーカーやコンテンツ・パブリッシャーの業界内の3D担当者も、単に業務として言われたからやっているというのではなく、本当に3Dマニアな人が増えて欲しいものである。
【補足】 ソニーの新型HMD(HMZ-T2)については4Gamer.netのコチラのレビューが非常に参考になる。
■ 2013年 3Dエロスが目指す方向(2013年1月1日)■
3Dマニアな皆様、明けましておめでとうございます!
本年もよろしくお願いいたします。
3Dエロスは、女性の肉感再現性をより高めるために、ステレオベース42mmのパナソニックHDC-Z10000を導入しました!
さて、2006年に人類史上初の定期配信型フルカラー・リアル3Dアダルトサイトとしてスタートした当3Dエロスも8年目に突入しました。
8年前の状況は、ハッキリ言って「3Dで観られるデバイスは非常に少なく」「ましてキチンとした3Dで撮影できるデジタルカメラも存在せず」「正確な3Dで編集するソフトもほとんど存在しない」状況でしたが、 その後の世界と日本の3Dマニアたちの頑張りで2台のデジタルカメラのシャッターをほぼ完璧にシンクロさせる「SDM」の開発や正確な3D写真の編集が行える「ステレオ・フォトメーカー」 などの無料ソフトがプロやマニアに普及し、アマチュアでも完璧な3D写真を撮影・編集できるようになり、さらには、 善しにつけ悪しきにつけ、2010年の幻の3Dブームのおかげで、それまでは非常に高額だった3D対応テレビやモニターが安価で発売され、裸眼3D対応のスマホやサブモニターも登場し、そしてなによりも 「左右が完全にシンクロした民生用2眼フルハイビジョン3Dムービーカメラ」が登場し、幻のブームが終わったおかげで日本ではこれらの3Dデバイスが信じられないくらいの投売り価格で手に入るようになりました。
しかし、「ハードはあってもソフト(コンテンツ)なし」の状況に大きな変化はありません。
今や日系無修正アダルトコンテンツの最大の供給源となったDream Room Production(DRP)はパナソニックの初期の業務用3Dカメラを用いていち早くフレームパッキンな高画質3Dブルレイでの作品を投入しましたが、 3Dテレビが売れずに観る環境が整わない日本では、編集に手間が掛かり収益率の低い3D作品のタイトル量産は進んでいない状況です。
また、それらを撮影・編集しているスタッフは3Dの基本をほとんど理解しておらず、「コンバージェンス、デプス、パースがおかしい」「空間が樽型に歪んでいる」「ステレオウィンドウを壊した見難い映像」が多く、2Dの日系AV が世界を席巻したのとは対照的に、日系3Dアダルト作品の世界レベルでの評価は低いままです。
そんな中、3Dエロスは孤軍奮闘の構えで、今後もよりリアルさにこだわった無修正3Dアダルト作品を配信していきます。
3Dエロスはこの7年間に、より良い3Dと3D普及のための様々な実験を行ってきました。
例えば、
そこで、ようやく3Dデバイス環境が整った現在、3Dエロスは以下の目標を掲げて、新たな局面に進もうと考えています。
また、今までは毎週新作アップという時間的制約に追われて撮影と編集に手抜きな部分がありましたが、今後は企画段階から時間を掛けて1作品1作品をじっくり作ってゆきたいと思います。 そのために新作アップまでに2週間から3週間のアロワンスが必要になると思いますので、1ヶ月に新作は2本までとしていきたいと思います。
なお、パッケージとしては1作品ですが、『無毛宣言』方式のようにシーンごとの分割配信による毎週新作配信も検討します。 また、バックナンバーの裸眼3Dスマホ版追加配信は全ての作品をカバーするまで続けます。
また、3Dムービーの配信フォーマットは、
※参考記事は"国際3D協会日本部会" から
先週11月20日に秋葉原のUDXシアターで2013年度のルミエール・ジャパン・アワードが発表された。
審査員のほとんどが「日本では3Dはオワコン」を自覚しながらの今年ではあるが、オワコンだからこそ逆に「本当に3Dが好きな人、世界のレベルに近づけたい人」が残り「一攫千金を狙った3D教不信心者が居なくなった現状」は、 昔からの3Dファンやマニアには喜ばしいことではある。とはいえ、やはり3Dコンテンツや3D機器の開発に大資本を投入できる環境が崩壊してしまった状況は寂しいのだが、 発表会当日の会場の雰囲気は結構『こんな今だからこそ俺たちが日本の3Dを牽引していく』といった熱い空気があったし、『キャプテンハーロック』は興行成績的に苦境の中でのグランプリ受賞で監督が感極まって涙声になっていたりで、 下世話な居酒屋的3Dマニアな私などはそのマジな映画祭的雰囲気に戸惑ってしまったくらいであった。
アンチ3Dな日本では、ハーロックでの「本来は視差の無い無限遠で広大な宇宙空間をどうやって立体化して見せるか」の技術やアイデアのそれなりの水準の高さについても全く評価されていないが、 私的には「わ、広いし深いな」と感心したし、これから12月に公開されるハリウッド大作『ゼロ・グラビティー』と見比べたい気持ちになったが、残念ながらハーロックは既に地方の映画館、 それも数館でしか上映していないし、3D版のブルレイが発売されるかどうかも分からない現状が悲しい。
さて、私が当3Dエロスで2006年頃から書いてきているように、世界でのCGや3D技術の急速な進化に追いつけない日本の映像界は、 このままでは5年か10年に1本あるか無いかの原作とシナリオの質が極めて良い作品か、宮崎アニメに代表される2Dセル画チックなものをさらに日本的に進化させたものしか生き残れないと今も思っている。 高畑監督の「かぐや姫」のような手間のかかる水彩画チックなアニメが高く評価されるのは良い、が、それは現在と将来の世界の映像界ではあくまでもニッチなニッチなものでしかないように思う。
わざわざ映画館に脚を運ばずにも40インチか50インチのテレビで見れば充分なものって、「映画」を前提に創る側からすればやはり淋しいことのように思えてしまうが、どうなんだろうか?
ルミエール(兄弟)は、スクリーンに投影する「映画」を発明し、1895年の頃から3Dによる「リアルなのに非日常的な夢の映像空間」を目指していたことから国際3D協会はその賞にルミエールの名前を冠しているわけだが、 そんな革新性を失った(あるいは最初から持っていない)日本の映像界の将来は厳しいのではないかと思ってしまう。
唯一の救いは、ここ数年のハリウッド大作のスタッフロールに、人数は少ないながらもVFXや3D部門に日本人スタッフの名前が挙がってくることだが、 それとて人数を急激に増やしている中国人名のスタッフ数に比べると少なく心配になってしまうし、彼らは日本の映像界を見限って今後もハリウッドに活躍の場を広げて、 日本にはもう帰ってこないんだろうなと思ってしまうとやはり悲しいし、音楽も映像もペラペラでもその時だけチャチャっと楽しめれば充分じゃん...的な今の日本の空気は私は好きではない。
■ 東京オリンピックが開催される2020年の映像技術はどうなっているか?(2013年9月8日)■
2020年の夏季オリンピック&パラリンピックが直前のマスコミ予想に反して大差で東京に決定した。ダダ漏れのフクイチをどうするかという解決しなければならない大きな課題は残っているが、 首相が世界に向けてお約束したのだから、今まで以上に海外の目に晒されることで「アンダー・コントロールド」を真実のものとするべく対策が改善されていくことを期待したい。
さて、映像の世界においては、2020年夏季オリンピックが東京に決まった直後から、7年後の映像・放送・インターネット技術の進化を見越した様々なアイデアがネット上に上がってきている。
ま、地上デジタル移行で巨額の設備更新を余儀なくされたばかりの放送業界においては、7年間の時間では4K2Kにすら対応は厳しいと思われるが、 地上デジタル放送の足枷を外せば(例えばインターネットなど)、可能性は大きく広がる。
ちなみに昨年のロンドン・オリンピックでは英国スカイ3DとBBCが全世界リアルタイム3D放送を配信した(先進国でリアルタイム3D放送が行なわれなかったのは日本だけだった)が、 映像処理技術の進化を考えれば、これからの7年間はフィリプス+ドルビー3D連合軍が既に実現している「メガネ不要で多人数で見られる大型裸眼3Dテレビ」にとっては十分すぎる普及期間であり、 現在の放送システムをほぼそのまま使用できるため、2020年の街頭テレビやスポーツバーのテレビは全て裸眼3Dテレビになっているかもしれない。 あるいは競技スタジアムの中で直接見ているような没入感重視派には「間近で360度自由視点」から競技を見られる映像システムが実用レベルで普及しだしているかもしれない。 『女子体操をリアルタイムに自由な視点、例えば下から見上げた床目線から見られる』ことを可能とするコンピュータの演算処理能力向上も7年間あれば可能だとツイッターに書いている人も居る。
そんなことを書くと、お堅い方々は『神聖なるオリンピックを汚す行為だ』と非難するだろうが、360度自由視点もエロい下からの床目線も、 その技術はやがて医学をはじめとする科学分野や教育の世界に波及して社会生活の飛躍的な改善・向上に繋がっていくきっかけになれば良いのである。
さて、2013年現在、既にCGならばMMDや3DVR・ARの技術で360度自由視点な下から目線も裸眼3Dで見られるシステムはあるし(東芝ダイナブックT852等)、 ヘッドマウントディスプレイなら非常に安価な費用(3万円〜5万円程度)で実現できているし、 さらに高精細3Dスキャナーやマルチ・カメラによる「実際の女性」の完全3Dスキャンによる360度自由視点映像も公開されている(「3D-Scan-Girl01」http://vimeo.com/71466225)や「IR Full-Body Scans in UDK, viewed in VR.」。 これは現在世界中の3Dマニアやゲームマニアに注目されている広視野角のヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift」向けに変換されたものであるが、 既にこのような「人体3Dスキャンデータ」にMMDのボーンを組み込んで、パフュームが公開しているようなダンス・モーションデータで躍らせることも可能となりつつある。 つまり、AKB48なりモモクロなりお気に入りのAV女優の人体3Dスキャンデータから再現したバーチャル3D人間を自由に動かして、自由な視点から(もちろん下からも)見ることが今現在もできるのである。
ちなみに左上の画像は、「Oculus Rift」でバーチャル・セックスをしている状況を第三者目線で再構築した(本人にはこんなように見えている的な)デモ映像「Oculus Rift TV SPOT」(http://vimeo.com/7402506)であるが、 これをバカらしいと思ってしまう頭の硬い人にはその可能性を広げることはできない。
ここ5年間ほどの映像技術の進化を考えると、2020年までの7年間で我々の想像を遥かに超えた領域までさらに進化してしまう可能性もあるわけで非常に楽しみではある。 が、残念なのは、2Dに偏った日本の「クール・ジャパン政策」の結果、既に欧米や中国の映像制作者の技術や表現力に遥かに遅れを取ってしまっている現状では、 ハードや新技術を活かしきれないのではないかと思えてしまう。
これからの7年間で、ハードも、それを活かす映像クリエーターも日本で育って欲しいと願っている。
■ 高画質な裸眼3Dテレビ時代がもたらすもの(2013年5月12日)■
※参考記事は"ZAKKA MEKKA" から
4月の情報になるが、当コラムでお伝えしている「裸眼3Dテレビを中心とする新しい3D技術とフォーマット」の具体化に向けて、オランダのフィリプス、アメリカのドルビー、 そしてアバターのジェームズ・キャメロン監督が正式にタッグを組み、「ドルビー3Dフォーマット」の売り込みに向けて本格的な活動を始めた。
その中核技術を開発したのは、既報のとおり、フィリップスからスピンオフした若き4人の技術者が創設した「ディメンコ社」である。
ドルビー3D方式に限らず、裸眼3Dが普及すれば、人類の生活は大きく変わる可能性がある。なぜなら、日本での多くのアンチ3D派の人々が思う以上に、映像の本来のあるべき姿は3Dなのである。 現在の2D映像は、パース情報が欠落しているという点で不完全であるし、それは産業でも教育でもエンタメでも社会生活でも、本来映像から視聴者が得られる情報を大きく減少させてしまっているのである。
ま、生まれたときから「映像とは2Dなもの」が当たり前として育ってきた人々にはなかなか実感できないことではあるが、3D視を続けてきた人々にはパースの無い映像はリアリティーが欠如した、 まさに絵に描いた餅なのである。それは単に立体感だけではなく、物体の質感や空気感の再現性にまで及ぶ。
もちろん私は2Dも嫌いではないし、2Dならではの表現や意義も重要だと思っている。しかしそれは、将来は「アートの世界」での存在意義に変わっていくと思う。墨絵や浮世絵や抽象絵画が、 作者が表現したい対象とそれへの思い入れを見る側に強く伝えるためにデフォルメと簡素化、あるいは逆に実態以上に精緻にディテールを作ることによる「創作」であるようにである。
私の好きな植物図鑑の絵なども、非常に精緻に描かれているようで実際にはデフォルメと簡略化が行われている。パース情報の無い2D写真ではゴチャゴチャになってしまって、 本来伝えるべきその植物の特徴が伝わらないためであり、描いた人の「意思」が入ったものであるから、優れた植物図は単なる学術資料としてだけでなく美術的価値もあるのである。
対して3Dは、基本的に見たまま、あるがままの空間を再現する。もちろん映画などのエンタメではCG技術、あるいは背景ボカシなどの2Dの手法も使った創作であるが、スポーツ、音楽、 日常生活などの3D映像は、その瞬間瞬間のあるがままの空間の再現である。それは単にパースを加えた情報量の多さというだけではなく、2Dでは伝えきれない「何か」を伝えることができる。 その「何か」を上手く表現できないが、簡単に言ってしまえば「より高いレベルのリアリティー」である。おそらく360度回り込んでも立体に見えるホログラフが当たり前の時代になれば、その感覚はさらに強くなると思う。
江戸末期から明治初期に撮られた数々の3D写真を見ていると、それが百数十年前に撮られたものであるにも関らず、その時代の空間に引き込まれるような、あるいは過去の時空が現在の時空に繋がったような、 そこに写っている人々の息遣いや体温が伝わってくるような感じが私にはするのである。まさに時空を飛び越えてリアリティーを感じることができるのである。 もちろんそれは全ての人が感じ取れるものではないし、逆に2D写真からでも直感的にそれを感じ取れる人もいるだろうがその才能を持った人々は極一部に過ぎないだろう。
重要なことは、そんな一部の人たちだけでなく、多くの人々が3Dに慣れることで2Dよりも格段に高いレベルのリアリティーを感じ共有できるようになることで、 戦争やテロや犯罪や事故で人が殺され地震や津波や原発が爆発しても2DのテレビやYouTubeや紙媒体では全てが他人事のように思えてしまうフィルターのような2Dの壁を破って現実の姿に向き合い、 相互理解や現状認識や知識が高まると私は思っている。ただし、現実にはそこに無い空間や人やモノと現実との区別が付かなくなる危険性もあるから、教育の場での3Dの見方や啓蒙が必要であり、 今後その重要性が高まると私は思う。
James Cameron Discusses Glasses-Free 3D from Dolby Laboratories on Vimeo.
■ ゲーマーに話題の「Oculus RIFT」の発想力が日本には必要(2013年5月12日)■
※参考記事は"GAME Watch" から
パナソニックとシャープのテレビ部門の大失敗から、日本のメジャーメーカー各社では『3Dは無かったことに』的な雰囲気が強く、今や3Dは禁句にもなっている模様であるが、海外、 特に1980年代からPCゲームを3Dで楽しむユーザーとそのためのマーケットが成立しているアメリカでは、若い開発者たちがフレッシュな発想で3Dに参入し、良い方向に向かっている。
ちなみに日本では公開されていない映画作品にも3Dは定着し、その3D品質も加速度的に良くなってきている。
そんな中で昨年プロトタイプが発表され、日本でも今月から入手が可能となったゲーマー向けのヘッドマウント・ディスプレイ(HMD)『Oculus RIFT』が凄いらしい。
3D対応のHMDと言えば、本コラムで既報のとおり、日本でもソニーのHMDが話題となり、3D製品としては珍しくある程度の台数を売り上げて現在のHMZ-T2に繋がっているし、 それをカスタマイズして医療分野に導入しているケースもあるが、その前身とも言うべき1996年に発売された『グラストロン』時代から、専用液晶(HMZ-T1/T2は有機EL)を使った高画質志向のものであるが、 3D視に重要な「視野角」を広くするのは難しい課題として残っているし、ゲームやバーチャルリアリティーに必須のヘッドトラッキング(頭の動きに応じて視野が変化する)機能も無い。 他のメーカーの一部のプロトタイプやビジネスショー向けの特殊なものでは、人間の頭全体を覆うような大きさ(昔の美容院のパーマをかける機械のような)で広い視野を確保するタイプも存在するが、 家庭での使用を考えたものではない。また、ゲームでの使用を想定した小型のものではヘッドトラッキング機能内蔵のものも多いが、良くない画質と狭い視野角の割には結構なお値段になってしまっている。
そんなHMD分野に、「非常に安くて高画質になったタブレット用のモニターを使えば広い視野を確保したHMDを安く完成できるのではないか」という発想の元に生み出されたのが『Oculus RIFT』である。 タブレットやスマートフォンを3Dの表示モニターに使う発想自体はタブレットやスマートフォン発売直後から世界中の3Dマニアの間ではあったし、実際に製品化された「アイフォン用3Dビューアー」もいくつかある。 『Oculus RIFT』はそんなタブレット用の3Dビューアーを直接顔に付けられるようにしたものと言ってよいくらいに割り切ったものであるが、眼球の数センチ前のモニター面をハッキリ見せるためと、 広い視野角を確保するために計算上歪ませて画像処理された映像を正しく見せるための光学系がよく考えられている。もちろん、ゲームに必須のヘッドトラッキング機能も最初から装備している。
そして特筆すべきは、タブレット用の大きなモニターを最大に活かした「対角110度、左右90度」という広大な視野角である。ソニーHMZ-T2は左右45度であるから実にその2倍。 体感上はもっと広く感じるらしい。そしてそれが、ゲームやアプリなどの開発者向けキットとは言え「37,800円」という低価格で入手できるのである。 製品版発売の予定価格も5万円台と安価に設定されているが、このまま円安が続くともう少し高くなってしまうかもしれないし、現在のアメリカでの高い人気から製品版の製造台数が当初の予想よりも多くなれば 逆に安価になるかもしれない。
これに小型で安価なステレオカメラがオプション設定され、グローブ型の入力デバイスなりジェスチャーコントロールで動かせる「仮想の手」のアプリが進化すれば、非常に没入感の強い ARを活かしたバーチャル・リアリティーの世界を楽しめるようになるだろう。既にアプリ開発者の何名かは、この「Oculus RIFT」で見る仮想現実の世界の中の3DCGで描かれた初音ミクなどを下から覗きながら そのスカートを仮想の手でめくることも可能としているのだから...仮想立体空間の中でリアルなCG女性のおぱーいを仮想の手で触って感じさせたり、おぱんちゅを脱がせることが出来るようになるのも時間の問題であろう。 あるいは世界中に増殖しつつある腐女子たちが仮想の美青年や美少年たちを操作してカラマセたりして遊ぶゲームや、肉食系女子たちが立体映像のお好みのペニスを仮想の手や口で手シゴキしたりフェラしたりして、 いかに早く何本も大量に精子を射精させるかを競う対戦型オンラインゲームが登場するかもしれない。 コンテンツにおけるクールジャパンとはテレビ向けのアニメよりも実際には世界最高水準のAVやHENTAIコミックやアニメなどの方が幅広い年齢層で認知度は高いし、 それに触発されて学術や教育や医療や産業分野に応用する人が出てくれば良いのである。最初から頭の硬い人たちに任せていたら進歩と普及は望めないと思う。
■ 『ジュラシック・パーク3D』急速かつ高度に進化し続ける2D3D変換技術(2013年4月17日)■
アメリカでは通常の映画館での3D上映の他に4月5日から1週間の期間限定でIMAXシアターの大画面でも上映された『ジュラシック・パーク3D』を実際に観た3D仲間たちの評判が非常に良い。
マイケル・クライトン原作+スピルバーグ監督制作で大ヒットした『ジュラシック・パーク』オリジナル版が公開されたのは20年も昔の1993年のこと。 当時最高の画質と最高のVFX技術による特殊効果を使っているものの、あくまでも2D作品であり、ヒッチコック監督が今から60年前の1953年に3Dで制作し翌1954年公開された『ダイヤルMを廻せ』とはわけが違う。 今回の『ジュラシック・パーク3D』は『タイタニック3D』や『トップガン3D』と同じく2D3D変換されたものである。
さて2D3D変換と言えば、公開前に大きく期待されていたジョージ・ルーカスの『スターウォーズ』シリーズの変換第1作の仕上がりが酷すぎて大コケし、 2D3D変換に対する大きな失望感を植え付けてしまったことは記憶に新しい。
さらには『ピラニア3D』シリーズやいくつかのアクション映画も酷すぎる2D3D変換版が続いたため、 私自身も『昔のあの作品を現在の3Dテレビでリアルな3Dで観られたらいいのにな〜』という夢を捨てかけていた。 が、非常に丁寧な変換が行われている『タイタニック3D』や、オリジナルの画質自体が良くないため変換後の3D画質も決して良くはないが空中戦シーンが非常に臨場感があった『トップガン3D』を観て、 2D3D変換作品も忘れずにチェックしようと思っていたところに『ジュラシック・パーク3D』の登場である。
来週4月23日から発売されるブルレイ版を先行視聴させてもらったが、その3Dとしての仕上がりの良さに感激すると共に、今後の2D3D変換の可能性について改めて大きな期待を持った。
何が凄いかと言うと「下手な2眼ステレオカメラで撮影された3D映画よりもよっぽどまともに3Dに見える」こと。横に移動する被写体をカメラがパンして追うようなシーンでも破綻しないし、 この手のパニック映画には必須の飛び出し感も十分計算されて飛び出してくるし、人物のアップでは鼻はちゃんと高いし量感もあり、全編を通じてコンバージェンスポイントやパース感が乱れておらず、 映画の内容自体に引き込まれて一気に見ることができた。
さて、現在の3D映画制作では、最初から2D3D変換を前提としたものと、レンズ口径が大きい業務用シネカメラを2台使ったもの、その両方を組み合わせたものがあるが、 2台の業務用カメラを単純に横に並べたステレオカメラシステムではステレオベース(2台のカメラの各センサーの中心位置の間隔)が広すぎるため、 役者の上半身や顔のアップシーンなどは少し離れたカメラ位置からズームで寄り背景をぼかすか、あるいは、 45度傾けたハーフミラー越しに2台のカメラを90度の位置で組み合わせたステレオリグで視差を狭くして撮影することになるが、ズームで寄った場合はどうしてもパースが圧縮されて人物の量感が弱くなり、 ペッタンコなものになってしまうことが多い(その典型的な悪い例は日本の『貞子3D』など)。 また、ハーフミラーによる撮影では、ミラーを透過した側のカメラと反射した側のカメラでは明るさだけでなくセンサーに届く光の波長や性質が異なってしまうため、 特に1本1本の髪の毛や頬の微妙な曲面に反射した光や背景の中の反射光などが左右違ってしまうことから違和感のある3Dになってしまっているものが多い(編集段階でかなり補正されていても完全には補正しきれない)。 それに比べて今回の『ジュラシック・パーク3D』は、元々1枚の絵しかないので左右の色や反射光が違うことも無いし、寄りも引きも計算ずくでパースを設計し変換が行われている。 それも『タイタニック3D』以降のノウハウの蓄積を生かしたより高度な変換が行われていると思う。
もちろん、映画冒頭の「薄暗い中で木々の多くの葉がザワザワと蠢く」シーンといったような遠近の定位が決めにくく2D3D変換が不得意とする部分や、 背景にライトなどの光源がある逆光シーンなどは無理さが見られるが、少なくとも『ジュラシック・パーク3D』の2D3D変換は鑑賞に堪えるという以上の十分な3D画質であり、 さらに今後の2D3D変換技術の進化の可能性を見せてくれたものだと思う。
なお、『ホビット』などに登場するCGで描かれたキャラクターとは違い、20年前の『ジュラシック・パーク』の恐竜たちは、 遠景のブラキオサウルス、草原を高速で走り抜けるガリミムスの大群などを除き、人とカラむトリケラトプスやラプターやTレックスなどの恐竜は等身大のアニマトロニクス(人が中に入り直接あるいは遠隔操作で機械的に動かす精巧なレプリカ)で作られているので、 量感や質感といった存在感は現在のCGによるものよりもかなり強いことも『ジュラシック・パーク3D』の変換後の完成度が高くなった要因のひとつだと思う。
さて、何でもかんでも過去のヒット作を2D3D変換すればよいというものではない。と言うよりも、わざわざ3Dにする必要なんて全く無い、2Dのままの方が良い作品の方が圧倒的に多いと思うし、 内容的には3D化されたら良いのにと思えても、オリジナル2Dの画質自体が悪いものや3Dを想定していないもの、フレーミングやカメラ・ワークが悪いものは3D化に向かないと思う。
20年前はそんなに感じなかったが、スピルバーグとそのカメラ・クルーの映像空間の捕らえ方やフレーミングって凄く上手だったんだということを今回の『ジュラシック・パーク3D』を観て強く思った。 逆に言えば、2D3D変換によって、監督やカメラ・クルーの真の力量が顕わになってくるように思えたし、その点から、『スター・ウォーズ3D』で大コケしたルーカスは、 2D3D変換以前の2D自体のカメラ・ワークがたいしたものでなかったように思えた。
おそらく今後5年でさらに2D3D変換技術は高度に進化し、変換に要するコストと時間は半分以下になっていくと思われ、3Dコンテンツの質・量共に急速に高まると思われる。そして3Dコンテンツの質・量がマーケット的に力を持った時、 アップルが重い腰を上げて3Dに参入し、名実共にようやく3D普及期に時代が変わることが期待される。
【補足情報】2013.04.18
ちなみにこの『ジュラシック・パーク3D』の2D3D変換を担当したのは『タイタニック3D』同様に『StereoD』社である。 3D映画として大きな興行成績を上げている代表的な作品のほとんどに関わっている同社は創立からわずか数年で2D3D変換技術のリーディング・カンパニーとなったが、 知る人ぞ知る日本の3Dコンソーシアムの事務局長を務めていた泉邦昭氏(弁理士)が「アバター」で悪役を演じた俳優のジョバンニ・リビシとロスに共同設立した会社であり、 現在泉氏は同社のCTO(Chief Technology Officer)であり、また、3Dコンソーシアムの副議長でもある。 事務局長時代の泉氏はプロ・アマチュアを問わず、一流企業の著名な研究者も若い学生も問わず、本当に3Dを愛している者たちと気さくに語り合っていたのが印象的。 ちなみに当サイトが開設間もなく日本人にはほとんど知られていない頃、某イベントで3D映像のデモを見るための行列で偶然彼と一緒に並んだ時に、彼から「3Dエロスの方ですよね」と声を掛けられ名刺交換をしたことが懐かしい。 ハリウッド映画業界はもとより、世界各国の企業や大学や研究機関のレポートも3Dエロスのようなアダルト3Dサイトに関しても分け隔てなく情報収集の対象として、より良い3Dとその普及への可能性を探っていたわけである。 正直あの時はまだ、ここまで2D3D変換がリアルなものに進化するとは私は思っていなかった。今となっては嬉しい誤算である。
■ 2D/3Dフルハイビジョン互換テレビ放送規格をめぐるドルビー・フィリプス連合vs韓国vsNHK(2013年3月1日)■
※参考記事は"DIGINFO TV" から
NHK自体は積極的に宣伝していないが、現行のデジタル・ハイビジョン放送の枠内で2D/3Dフルハイビジョン互換放送を実現する「アドバンスド・ステレオ・3D(Advanced Stereo 3D)」 方式案を公開している。それをNHK以外のメディアが色々な解釈で報道している。
2012年は、日本で3Dが定着しない原因のひとつにNHKがスーパーハイビジョンや遠い将来に実現を目論む独自のインテグラル3D方式への偏重からか現行放送枠内での3D放送に積極的でなく、 そのようなNHKの姿勢が他の民放に与える影響が異常に強い日本では、本来3D普及を進めるための最重要コンテンツである3Dテレビ番組が一向に増えないどころか、 民放では撤退する方向に動いている。
もちろんその根底には、非常に多くの国民が熱狂して毎回のゲームをテレビ観戦する欧米のような「放送にとってのドル箱キラーコンテンツである国民的スポーツ」が今の日本には無く (昭和30〜40年台には大相撲とプロレスと野球の3大国民的スポーツの時代があったが)、常時安定した高視聴率を稼げるジャンルが無いという放送事業の根幹の問題も大きい。
しかし世界を見れば、来るべき「裸眼3Dテレビ時代」に向けて、ドルビー&フィリプス連合軍や韓国がデファクトスタンダードの座をめぐって戦いを繰り広げている。
さて、ここで今一度ハイビジョン3Dテレビ放送の歴史を振り返ってみよう。このコラムを過去からお読みの方や実際に過去の3Dフェア、3Dエキスポ、3D&バーチャルリアリティー展、 フラットパネル・ディスプレイ展、CEATEC JAPAN等に足を運んで様々な3D方式やシステムと画質の進化をご覧になってきた方々はご存知のとおり、 2007年に世界で始めてきちんとした番組としてハイビジョン3D放送を始めたのは日本のBS11であり、それに合わせて発売された、ビッグカメラなどが出資してヒュンダイのハイビジョン液晶テレビに 新潟の有沢製作所製3D偏光フィルターを貼り円偏光メガネで観る方式の3Dテレビが、量産型の民生用デジタルハイビジョン3Dテレビとしては最初のものである。
BS11は3D向きの紀行番組や科学番組に加えて当時はまだほとんど無名だったAKB48を起用した番組や女子プロレス番組などを放送していた。もちろんその画質は現在の3D放送と同じ ハーフ・サイドバイサイドであり(この段階でフルハイビジョンの1/2画質)、さらに偏光方式のため縦方向が1/2になり、全体としてはフルハイビジョンの1/4の画質であったが、 放送の歴史の上では革命であった。
そして3年後の2010年に、プラズマの生き残りを掛けた大人の事情からパナソニックがフィールドシーケンシャル+フレームパッキング+液晶シャッターによるアクティブメガネ方式の3Dテレビを発表し、 各社がそれに追従して3Dテレビを発売し、BSやCSで3D番組も始まり、過去を勉強しないマスコミは『3D元年』と煽った。 その前年のアバターの世界的大ヒットによる相乗効果もあり、韓国の家電2強やアメリカ・ブランドのメーカーも3Dテレビを発売したが、ハーフ・サイドバイサイドやトップ・アンド・ボトムも フィールドシーケンシャルやフレームパッキングもアクティブメガネや偏光メガネも技術的には20世紀の誰にでも製造可能なものであり、後は価格競争だけが残ったその結果が今日の状況である。
しかもそれは2Dテレビとの互換性は無く、3Dテレビを持っている人々しか3Dで観ることはできず、それもアクティブ・メガネで見ても解像度は1/2であり、発売当時の価格はべらぼうに高く、 国民のほとんどを占める2Dテレビ環境では縦長の左右2画面が表示されるだけのもので、画質や互換性に厳しい日本のマーケットに受け入れられるものではなかった。
本来日本は、BS11による3年間という十分な時間の3D放送実績というアドバンテージ(現行方式のダメな部分や改善すべき点が見えたということ)を活かして、 放送局とテレビ・メーカーが一丸となって2010年の3Dテレビ発売までに2D/3D互換かつ真のフルハイビジョンで3D放送を行える環境を整えて世界をリードすべきだったと言える。
そのような日本の状況を横目に、テレビ・メーカーとして世界制覇を果たしつつあったサムスンとLGを要する韓国は、2010年の3Dテレビ発売とほぼ同時に、 2D/3D互換な次世代3Dテレビと放送システムの実験をソウル市内で開始しノウハウを積んでおり、また、 特許やシステムで儲けるオランダのフィリプスやドルビーも過去のWowTVやシアター3D失敗の経験を活かして次世代3Dテレビと放送システムの開発を進めてきたわけである。
NHKが公開した「アドバンスド・ステレオ3D」方式の研究開始は2012年1月からであり、その時点で既に2年間のソウル市でのテスト放送実績のある上記の韓国方式とほぼ同じものであるが (つまりは先を行く韓国方式をNHKがパクったと言える)、 韓国政府は韓国方式を国際規格として普及・定着させるべく国策として強力にバックアップしており、日本の劣勢は明らかである。
片やドルビー&フィリプス連合軍は、単に2D/3D互換をアピールするのではなく、大型の裸眼3Dテレビから小型の裸眼3Dタブレットや裸眼3Dスマホまでのサイズで「裸眼3D」を見せるという直感的で刺激的なデモンストレーションを行うことで規格の先進性をアピールし、 ドルビーが強力なコネクションを持つハリウッドを味方に付けて一気に攻勢を強めている。
早ければ今年の年末までに2D/3D互換の裸眼フルハイビジョン(もしくは4K2K)3Dテレビが登場し、欧米のテレビ局が全ての番組を基本的に3Dで制作するようになり (既に欧米では3Dのノウハウ蓄積と業務用機器の開発・導入が進み3D番組制作に要するコストは劇的に安くなり撮影・編集時間も2D番組の2割り増し程度にまで短縮されている)、 さらに韓国製品に加えて台湾・中国メーカーが韓国方式なりドルビー3D方式なりに対応した低価格な裸眼3Dテレビを市場に出せば、 5年を経ずにそれが「テレビと放送の世界標準」になるだろう。その時になってはもう日本が3D業界の一角を占めるポジションに立つことは残念ながら永久に無理になるかもしれない。
このようなフォーマット争いの状況は、当3Dエロスが2007年に将来の3Dフォーマット策定に関して予想したとおりの流れである(「鑑賞方法」のページの後段参照)。願わくば、当時の私の予想のように、 フォーマット確定後は日本のハイクォリティーな光学技術や放送機器技術を活かして、アマチュア用から業務用まで、再び世界を席巻できる優れた3Dカメラ、裸眼3Dモニターとテレビ、 編集ソフト、放送用機器などを開発して欲しいものである。
【補足1】 NHK自身が公開している「Advanced Stereo 3D」方式の概略説明資料が総務大臣指定・一般社団法人「電波産業会」のホームページにPDFで掲載されている。
【補足2】 当3Dエロス本家では2D/3D互換の有用性を広めるために既に2009年からデュアル・ストリームWMVによる2D/3D互換配信を行っています。 Stereoscopic PlayerやNDIVIA 3D VISION Video Playerでハイビジョン3Dで観られ、2D環境ではWindows Media Playerなどでそのままハイビジョン2Dで見られます。
■ ミニマム創内視鏡下手術に民生機ベースの3D・HMDが使われている(2013年2月16日)■
※参考記事は"東京医科歯科大学大学院腎泌尿器外科学教室" のホームページから
3D業界では大きな流れとしては「裸眼3Dの普及」に向かって現在いろいろと動いているようだが、そもそも「3Dって必要なの?」という一般ユーザー、特に、 アンチ3D派の多い日本では、まずは「3Dって楽しいよ、凄いよ、便利だと」という啓蒙をどのように行うかを、もう一度原点に還って考えなければならないように思う。
さて、現在、裸眼3Dがメインのドルビー3Dに関しては新しい情報もないし、その他の3Dデバイスも同様に大きな動きは無い。 強いて挙げれば、近年目覚しく微細かつ高画質になってきた「レンチキュラー・シート」でiPhoneやiPad MINI用の「貼ったまま普段使いも出来る綺麗な裸眼3Dレンチキュラー・シート」が各種登場してきたことと、 それを活かす3Dアプリが色々と登場しそうで、3Dは日本を除く海外ではまた1ステップ先に進む可能性がある。
ま、アップルが作れば何でもかなり売れる現在の日本の「ムードだけで動くマーケット」では、アップル自身が裸眼3Dモデルを出すのが3D普及には一番インパクトがあるとは思うが、 おそらくアップルとしては、メガネ式3Dが終わり、裸眼3DテレビやPC用裸眼3Dモニターがある程度普及し、何よりも、 それらの裸眼3Dデバイス向けの3Dコンテンツが現在の数百倍の規模で、プロ・アマチュアを問わず、制作されて広告媒体なり売れるコンテンツとしての環境が整うことが確実に見えてから参入するのではないだろうかと思う。
家電メーカーとは違い、それまでに他社が培って有用と認められた技術のいいとこ取りして、少品種でリスク少なくドカッと世界中で売るのがアップルのやり方だし、 アップル・ストアで薄利多売でコンテンツを売ることを前提としたら、現在の3Dコンテンツは質・量ともにまだまだ少ないと言えるだろう。
しかし3Dオワコンな日本でも、医学界で正常進化的に3Dが使われ始めていることを昨年7月にこのコラムで紹介したが、より実践的な活用をウリにしている事例が紹介されたので取り上げてみる。 それも高価なオーダーメイド製品ではなく(カメラ等は除く)、ソニーの民生用3D対応HMDにちょこっと手を加えて使っている東京医科歯科大学大学院の事例である。
最初に上の写真を見た時は「オペの最中に何で皆上を向いているんだ?」と思ったが、このシステムの概要を読むとなるほどと思った。つまり、民生機のソニー製HMDには無い傾きセンサーや 視線トラッキングが内蔵されていて、目線の移動や頭の角度で観られる映像が変わるというもの。手術している手元を見なくてもちゃんと手術している箇所が見えているわけです。
それも以下の図解のように、3Dで「拡大」「俯瞰」「全員視(オペしている医師や補助者全員で映像を共有)」「誘導視(エコーなどで見えない箇所の映像も見える)」 といった微細な手術に必要な映像情報をカバーしている。
詳しくは東京医科歯科大学大学院の上掲ホームページで確認していただきたい。
必要こそ発明の母と言われているように、実際に必要とする人々の意見や要望を聞き入れてこそデバイスは進化する。
そして私が今一番感じていることは、ひとつの具体例としてこのように医療分野では既に「より高度で安全で患者の負担が少ない手術」というニーズのために3Dが応用されるようになったのに、 なぜ日本では一般のエンターテイメント分野で3Dが活かされていないかという問題意識が日本のメーカーにはほとんど見られないことである。
もちろん欧米人と日本人を含む東洋人の間には「空間や物体」に対する視覚的な捕らえ方の違い、表現の違いが古来から存在すると言われてきたし、 欧米の「コミック」と日本の「漫画」を見比べればそのパースの扱いや物体の輪郭の扱いは大きく異なっていることが分かる。
しかし、日本が古代から中・近世まで絵画のお手本のメインストリームとしてきた中国は今や視聴者数の上では世界第一の3D普及国になっていることから、 東洋人である日本人には3Dは文化的にも馴染まないというのは偏見に過ぎないと私は思う。
確かに日本人には慣れ親しんだモノやシステムと異なるものに対する拒否反応や警戒心は欧米人や中国人に比べて強いかもしれない。 が、日本でのインターネットやスマホの普及速度を見れば「便利で楽しめる」ものであればかなり柔軟に取り入れ、さらに便利で楽しいものに進化させる能力が日本人にはあると思う (それが行き過ぎるとガラパゴス化の弊害も出てくるが)。
そこで日本での3D普及を進める上で重要になるのは、以前このコラムに書いたように、『技術者目線からの商品開発』ばかりでなく『クリエイター目線からの商品開発』だと思う。 ここで言うクリエイターとは従来の2D映像のクリエイターではなく、プロ・アマチュアを問わず十分な3D経験のあるクリエイターである。 なぜなら、ほとんどの3Dクリエイターは過去に既に2Dクリエイターとしての経験を踏んだ上で3Dに進んでいるからである。いきなり3Dから入った人はほとんど居ない。 そんな2D経験の上に現在3Dで作品を制作したり鑑賞者として楽しんでいる人々には、2Dの表現と3Dの表現の間の大小の違いも、3Dならではの表現と制限も、また、 今の3Dに何が足りないかを分かっているし、その足りない分を実現するためにはどのようなハードやソフトやサービスが必要かという問題点が見えている人が多い。 そんな彼らの意見や要望を、メーカーやコンテンツ・パブリッシャーはもっと積極的に活用すべきだと思うし、それなくして日本での3D普及はいつまでたってもあり得ないと思う。
しかし私はその反面、幻の3Dブームが消えて、「3Dで儲けてやろう」的な魑魅魍魎のような連中が居なくなったことで、再び日本には「本当に3Dが好きな人々」だけが残った現在は、 3Dマニアには良い環境かもしれないとも思っている。 願わくば、メーカーやコンテンツ・パブリッシャーの業界内の3D担当者も、単に業務として言われたからやっているというのではなく、本当に3Dマニアな人が増えて欲しいものである。
【補足】 ソニーの新型HMD(HMZ-T2)については4Gamer.netのコチラのレビューが非常に参考になる。
■ 2013年 3Dエロスが目指す方向(2013年1月1日)■
3Dマニアな皆様、明けましておめでとうございます!
本年もよろしくお願いいたします。
3Dエロスは、女性の肉感再現性をより高めるために、ステレオベース42mmのパナソニックHDC-Z10000を導入しました!
さて、2006年に人類史上初の定期配信型フルカラー・リアル3Dアダルトサイトとしてスタートした当3Dエロスも8年目に突入しました。
8年前の状況は、ハッキリ言って「3Dで観られるデバイスは非常に少なく」「ましてキチンとした3Dで撮影できるデジタルカメラも存在せず」「正確な3Dで編集するソフトもほとんど存在しない」状況でしたが、 その後の世界と日本の3Dマニアたちの頑張りで2台のデジタルカメラのシャッターをほぼ完璧にシンクロさせる「SDM」の開発や正確な3D写真の編集が行える「ステレオ・フォトメーカー」 などの無料ソフトがプロやマニアに普及し、アマチュアでも完璧な3D写真を撮影・編集できるようになり、さらには、 善しにつけ悪しきにつけ、2010年の幻の3Dブームのおかげで、それまでは非常に高額だった3D対応テレビやモニターが安価で発売され、裸眼3D対応のスマホやサブモニターも登場し、そしてなによりも 「左右が完全にシンクロした民生用2眼フルハイビジョン3Dムービーカメラ」が登場し、幻のブームが終わったおかげで日本ではこれらの3Dデバイスが信じられないくらいの投売り価格で手に入るようになりました。
しかし、「ハードはあってもソフト(コンテンツ)なし」の状況に大きな変化はありません。
今や日系無修正アダルトコンテンツの最大の供給源となったDream Room Production(DRP)はパナソニックの初期の業務用3Dカメラを用いていち早くフレームパッキンな高画質3Dブルレイでの作品を投入しましたが、 3Dテレビが売れずに観る環境が整わない日本では、編集に手間が掛かり収益率の低い3D作品のタイトル量産は進んでいない状況です。
また、それらを撮影・編集しているスタッフは3Dの基本をほとんど理解しておらず、「コンバージェンス、デプス、パースがおかしい」「空間が樽型に歪んでいる」「ステレオウィンドウを壊した見難い映像」が多く、2Dの日系AV が世界を席巻したのとは対照的に、日系3Dアダルト作品の世界レベルでの評価は低いままです。
そんな中、3Dエロスは孤軍奮闘の構えで、今後もよりリアルさにこだわった無修正3Dアダルト作品を配信していきます。
3Dエロスはこの7年間に、より良い3Dと3D普及のための様々な実験を行ってきました。
例えば、
- どこよりも早くSDMを導入して完璧な無修正3Dヌード写真集を公開した
- どこよりも早くハイビジョン(720p)による無修正アダルト3D作品の配信を開始した
- どこよりも早く裸眼3Dケータイ用の無修正アダルト3D作品の配信を開始した
- ドイツと同時期に左右フルハイビジョン1920x1080pのデュアル・ストリーム3Dによる無修正アダルト3D作品の配信を開始した
- どこよりも早く裸眼3Dスマートフォン用のハイビジョン3D(720p)による無修正アダルト3D作品の配信を開始した
- どこよりも早くニンテンドー3DS用の無修正アダルト3D作品の試験配信を行った、等々...
そこで、ようやく3Dデバイス環境が整った現在、3Dエロスは以下の目標を掲げて、新たな局面に進もうと考えています。
- 実験はほぼ終わったので、これからが本当の意味での「エロス」な3D作品作りに重点を置く
- 他のアダルト3D制作者ではできない「寄りやアップの絵」も多くしていく
- カラミよりも女性の肉体の美とエロスとその再現性を重視していく
- ムービー先行で3D静止画が少なくなったことを反省し、2台の高画質デジタル一眼カメラによる「4Kx2Kx左右2画面」な超高画質3D静止画も増やしていく
- 来るべき「裸眼フルハイビジョン3D時代」に通用するようなハイレベルな3Dクォリティーかつエロい作品制作を追及していく
また、今までは毎週新作アップという時間的制約に追われて撮影と編集に手抜きな部分がありましたが、今後は企画段階から時間を掛けて1作品1作品をじっくり作ってゆきたいと思います。 そのために新作アップまでに2週間から3週間のアロワンスが必要になると思いますので、1ヶ月に新作は2本までとしていきたいと思います。
なお、パッケージとしては1作品ですが、『無毛宣言』方式のようにシーンごとの分割配信による毎週新作配信も検討します。 また、バックナンバーの裸眼3Dスマホ版追加配信は全ての作品をカバーするまで続けます。
また、3Dムービーの配信フォーマットは、
- NDIVA 3D VISION環境の人が多いことや偏光方式環境の人でも無料の「Stereoscopic Player」でも再生可能なことから、PC用左右フルハイビジョンで高画質なデュアル・ストリームWMVをメインとする
- 3Dテレビや3Dモニター使用者向けのハーフ・サイドバイサイドは、既にWindows7使用者が増えたことから、従来のWMVからより高画質に圧縮率を低めたMP4に切り替えていく
- 裸眼3Dスマホ用のハーフ・サイドバイサイドは720pのH.264/MP4で継続する
- ニンテンドー3DS用は別サイトの「Hey動画」で配信していく(デュアル・ストリーム版、3Dテレビ版、3Dスマホ版も単品配信を検討中)
- 従来のフル・サイドバイサイド交差法配置のムービーはサイズ的にも画質的にも存続の意味が薄れたので廃止する
- 1280x720pで撮影されながら公開当時はハイビジョン3D対応モニターが少なかったことから1024x576pで配信されていた過去作品のうち、人気の高いモデル作品については、 再編集する時間が作れ次第、3Dテレビ・3Dスマホ兼用の1280x720pハーフ・サイドバイサイドに高画質化した新たなバージョンを配信する
(コラム中、意見の部分はあくまでもWebmaster 藤山土門の個人的見解です)